概要

  • 賃金構造基本統計調査は、日本で最も大規模な職種別給与調査である。
  • 細かな職業別に給与がわかることがメリットである。
  • ただ、サンプルの偏りにより、現実とは乖離した結果となることも多い。また、「きまって支給する現金給与額」といった実社会では用いられない用語で何を指しているのかわからないことや、「年収」の平均値は算出されていないため、わかりづらい用語を読み解いて読み手が年収を算出しなければいけない。
  • 厚生労働省が出版しているようだが、用語や表記の見直しをするべきである。
  • 賃金センサスとも呼ばれている。
  • 1年に1回、6月の給与状況について7月に調査をしている。

主要職業抜粋

職業年齢勤続年数年収月総支給額基本給年間賞与その他労働者数【十人】
航空機操縦士39.410.316946.11224.31197.12254.5554
医師40.75.211692.3910805.5772.36707
大学教授57.716.311006.2669.5667.22972.27233
大学准教授47.810.88723.6542.9538.52208.84646
不動産鑑定士46.67.57545.9490.3490.31662.36
弁護士40.15.57285.6502.5501.21255.6264
大学講師43.77.67189.4473463.31513.42835
一級建築士48.613.47028.8461.8410.31487.22468
公認会計士
税理士
42.7116835.5472420.21171.5518
自然科学系研究者39.010.46812.5451.3422.11396.93702
技術士46.113.76669.3439.4405.81396.52086
獣医師40.59.25715.6425.9395.2604.8236
歯科医師36.05.75701.0450.4439.1296.21333
SE38.8125689.0380345.9112930107
薬剤師39.47.95616.5398.6367.8833.35895
放射線線技師38.9105019.5346.2311.5865.13449
航空機客室乗務員32.08.24959.1340.8337.4869.5497
化学分析員38.3114949.4319.7291.811132893
社会保険労務士44.713.44860.2334.9313.5841.460
看護師39.58.24829.1334.4302.4816.363031
一般化学工38.511.84762.3312.8267.11008.76749
測量技術者44.414.54687.7323.7300.8803.31982
臨床検査技師38.710.14612.2311.4280.3875.44378
プログラマー33.87.14258.0304.4278605.27691
理学療法士
作業療法士
33.36.24096.4287.5276.6646.415718
介護支援専門員49.99.33930.4275.2265.16287250
歯科技工士38.610.13847.9296.2267.5293.51072
歯科衛生士34.96.73704.8268.7256.8480.42540
幼稚園教諭34.38.23667.1244.1240.1737.97350
保育士36.77.83634.6244.5238700.625614
栄養士35.47.73565.0246.4233.2608.27108
調理士43.88.63413.4252.6228.7382.217784
ホームヘルパー48.97.33277.0240.8226.8387.46646

※金額の単位は千円

  • 厚生労働省のサイトがあまりに見づらいので、主要職業主要項目を抜粋して記載した。
  • 年収は、月総支給額x12+年間賞与その他で算出した。

医師給与の間違い

 上記医師年収に関して、11692.3千円(=1100万円)となっているが、これは大きな間違いである。確かに、医師の平均年収というワードについて調べてみるとこの「1100万」という数字をよく目にする。私はなぜこのような低い数字になっているのか疑問であったが、原因はこれだったのかと腑に落ちた。実はこれは実態と大きくかけ離れているのだ。なぜ間違っているのかというと、その原因はこの賃金センサスの調査方法にある。この調査は、国が事業所にお願いして回答してもらっているのだ。とすると、「A病院で働いている医師の給料は1000万円ですよ」「B病院で働いている医師の給料は1200万円ですよ」となり、「平均は1100万円ですね」となってしまう。しかし、医師の場合は複数の勤務先を持っていることは当たり前であり、この調査だといくつかある勤務先の中の年収しかピックアップできていないことになる。普通の医師であれば、常勤のA病院から1000万円、C病院から400万円、D病院から400万円もらって、計1800万円もらってます、ということになる。また、大学病院と研修医が大きく平均を下げていると思われる。どちらも400~500万円がボリュームゾーンであり、市中病院常勤の医師と比較すると給与差が大きいため、別統計で算出してもいいかもしれない。

参考文献

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