概要

分類国家資格
管轄総務省
認定開始1990年5月1日
分野環境技術系の資格
受験資格なし
試験日程年2回(9月、3月)
受験料1級 18,852円
2級 16,752円
3級 13,152円
HPhttp://www.nichimu.or.jp/

背景

  • 無線従事資格の背景には1912年に起きた歴史的な海難事故であるタイタニック号の氷山衝突がある。SOS信号が発信されたものの、深夜であったために至近距離にいたカリフォルニアン号の通信士は就寝中であり、信号を逃していた。100㎞先にいたカルパチア号がキャッチしたものの、到着には当然時間がかかり、1490名が犠牲となった。ただ、無線通信のおかげで700名が救助され、無線通信の重要性が認識された。
  • この事故が契機となり、1914年に50人以上が乗る船舶は無線電信装置を装備し、遭難通信を行う波長を600mの電波を24時間聴取することが定められた。このため、50名以上が乗る外国航路の船舶には無線局の設置と8時間交代としての3名の通信使の配置が不可欠となった。
  • 1915年、日本においても無線電信法が制定され、官営の無線局とは別に私設無線電信規則が定まり、私設無線電信通信従事者資格検定規則が定まった。これが現在に至る無線従事者資格制度の基礎となっている。

解説

  • 総合無線通信士は無線従事者の一種であり、船舶上で無線通信を行ったり、陸上の無線局で無線設備の操作を行ったりする。 活躍の場は官公庁、民間の無線メーカー、船舶関係の企業などである。
  • 無線従事者には、海上、航空、陸上という職域分類が存在するが、「総合」はそのすべてをカバーするものではないことに注意する。無線技術士は陸上無線技術士しかなく、第一級>第二級>・・・と上位資格になるほど扱える範囲が増え第一級陸上無線技術士は国内の全ての無線設備の技術操作ができる資格となる。
  • 一方、無線通信士には総合、海上、航空と3種類あり総合無線通信士は海上、航空の上位に位置している。それにプラスして第一級、第二級と等級もある。
  • 総合無線通信士1級の扱えない範囲は陸上無線技術士1級の範囲であり、両者の資格を持つことで無線従事者としては全ての捜査範囲をカバーする。
  • 無線従事者資格制度はその発端が遭難通信のような重責を担う無線通信士の証明が目的であったことから、無線局の運用能力を担保するという性格が濃いものになっている。
  • モールス信号が唯一の遠距離通信であった時代からの経緯で、無線通信士の資格取得にはモールス信号技能試験が必須であった。
  • しかし、1980年代になるとモールス信号に代わり、衛星通信を利用したGMDSSという最新技術を取り入れたシステムが導入された。1999年までにGMDSSへ完全移行するという流れになり、これに対応して、1989年に電波法が改正された。改正後、①総合無線通信、②海上無線通信、③航空無線通信、④陸上無線技術、⑤アマチュア無線といった分類となっている。
  • 資格の課題としては、本資格がモールス信号をベースに発展してきたことである。現在ではモールス信号以外にも無線通信が発達し、デジタル化や自動化が高度になっている。現場での運用や保守派省力化されている一方で、そこで用いられる高度な設備やシステムの設計や実装に関わる無線技術者には高い能力が求められている。その能力を担保する上で資格試験として十分な進化がなされていないところが問題である。「総合無線通信士」というと、「難関資格だけど古い」というイメージになってしまっている。

1級

  • 無線通信業務全般を担う
  • 主に国際航海を行う商船の船舶局での通信業務、船舶と通信をする海岸局の無線設備を操作する

2級

  • 日本近海を航海する商船や、比較的規模の大きい漁船の船舶局、漁業用の海岸局での無線設備を操作する。

3級

  • 遠洋漁船の船舶局、漁業用海岸局での無線設備を操作する。

難易度

  • 各種資格サイトで高難易度資格(場合によってはトップクラスの位置づけ)にされているが、今や時代遅れのモールス信号がその難易度を高めているだけであり、実用性は低い。
  • また、3級に合格することで、講習を受けて資格を取得するルートも開かれるので2級1級取得の難易度はグッと下がる。

有用性

  • 放送局ではコミュニティFMを除いて一級陸上無線技術士が必要であり、二級陸上無線技術士相当の一級総合通信士はテレビ局就職という点ではちょっと弱い。
  • 一級総合通信士が必要な職業は、現状では海上保安庁か海上自衛隊くらいしか無い。
  • 資格を生かして独立というよりは、無線を扱う会社に就職して給料をもらうというキャリアパスになる。
  • 総務省や民間の無線機器メーカー、海運、放送局などへの就職でプラスポイントとなる。
  • 資格手当が月に1~3万円でるところもある。

試験

科目

  • 1級、2級:無線工学の基礎、無線工学B、無線工学A、法規、英語、地理、電気通信術
  • 3級:無線工学の基礎、英語、無線工学、法規

合格基準

電信電話印刷電信
送信受診送信受診
12102108080200字以上送信
22102108080
3190190

合格率

年度等級申請受験合格合格率(%)
20201267229135.7
210810243.9
324620321
20191306250145.6
212311554.3
326123810.4
20181354311103.2
213912410.8
329127662.2
20171324277155.4
216515542.6
3340323103.1
20161336293196.5
214514042.9
3290279124.3
20151321277134.7
216515695.8
331530293
20141295252239.1
218417821.1
3328306216.9
2013120318894.8
2347338123.6
3283245145.7
20121233220135.9
2320308154.9
3246207115.3
2011124723293.9
2271259166.2
32121731911
2010125423293.9
2312294155.1
3207175148
20091229211136.2
2326311123.9
32221982211.1
20081245236125.1
2316303165.3
32692312410.4

資格保有者数

1級2級3級
2022
2021
202014,30818,89131,727
201914,29018,84531,650
201814,26518,81931,583
201714,24518,80131,503
201614,22118,75631,441
201514,20018,71731,347
201414,17318,67431,252
201314,15618,62731,194
201214,13418,58131,117
201114,11618,53831,042
201014,09718,49730,964
200914,08518,46130,879
200814,05818,40830,796
200714,03718,37330,721
200614,00418,32930,640
200513,98418,29130,584
200413,96218,25230,536
200313,93918,21430,423
200213,91118,16430,326
200113,88718,11830,245
200013,86818,06430,195
199913,84617,99330,076
199813,79917,89729,977
199713,76617,84229,835
199613,72317,73829,765
199513,66817,63929,664
199413,60417,54029,515
199313,51717,43329,447
199213,41017,32529,287
199113,32017,23529,178
199013,22817,16529,083

養成課程

  • 要件を満たした人であれば20日程度の講習を受講することで上位資格を首都kすることができる。
等級受講の要件講習科目講習時間
12級総合無線通信士の資格を有する
当該資格により海岸局又は船舶局の国際通信のための操作に7年以上従事する
無線工学120時間
23級総合無線通信士を有する
当該資格により船舶局の国際通信のための操作に7年以上従事する
無線工学
法規
英語
72時間
21時間
21時間

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