専門職と企業群
概要 †
解説 †
- 大学教授とは大学教員における役職を示す言葉であるが、一つのステータスとして確立されているためここでとり上げる。
- 教授という職位は、一般企業でいうと課長から部長に当たる。社長ぐらいのイメージを持っているかもしれないが、そうではない。ただ、一般企業と比べて大学の場合は研究室、診療科間の独立性が非常に強いので、大学教授=最高位の職位ぐらいの自由さはある。
- どんなにマイナーな大学のどんなにマイナーな学部のトップでもそれは教授である。東洋大学に立命館アジア太平洋大学を出ている准教授の人がいるが、彼は学力的には同世代の中で下から数えた方が早い。しかし、海外の大学院を卒業するということで学歴をカモフラージュし、現在では東洋大学のマイナー学部の准教授になっている。その学部は教員が少ないためすぐに準教授である。なろうと思えばなれる職位であるともいえる。
- 世間では過大評価されている職位である。
- 総合大学のメジャー学部の主任教授であれば世間の評価通りであるが、層の条件に当てはまる教授は10人に1人もいない。多くがマイナー学部の形だけの教授であり、教授戦を経ていない教授も多くいる。そうした形式教授は厳密にいえば地位も年収も低いが、「教授」という肩書はつくため、世間では優秀とみられがちである。
日本における大学教員数 †
区分 | 計 | 国立 | 公立 | 私立 |
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性 | 計 | 男 | 女 | 計 | 男 | 女 | 計 | 男 | 女 | 計 | 男 | 女 |
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学長 | 780 | 677 | 103 | 86 | 83 | 3 | 97 | 77 | 20 | 597 | 517 | 80 |
副学長 | 1611 | 1373 | 238 | 484 | 428 | 56 | 163 | 130 | 33 | 964 | 815 | 149 |
教授 | 70217 | 57340 | 12877 | 20853 | 18496 | 2357 | 4891 | 3819 | 1072 | 44473 | 35025 | 9448 |
准教授 | 44609 | 32952 | 11657 | 17712 | 14510 | 3202 | 4060 | 2874 | 1186 | 22837 | 15568 | 7269 |
講師 | 23327 | 15526 | 7801 | 5267 | 4050 | 1217 | 1917 | 1238 | 679 | 16143 | 10238 | 5905 |
助教 | 44137 | 29966 | 14171 | 18894 | 14128 | 4766 | 2785 | 1775 | 1010 | 22458 | 14063 | 8395 |
助手 | 5767 | 2377 | 3390 | 615 | 228 | 387 | 425 | 190 | 235 | 4727 | 1959 | 2768 |
計 | 190448 | 140211 | 50237 | 63911 | 51923 | 11988 | 14338 | 10103 | 4235 | 112199 | 78185 | 34014 |
※2021年度集計:常勤のみ(おそらく「名誉教授」などの形だけの教授は除外されている)
参考文献(1)
- 大学教員は19万人いて、助教4万人、講師2万人、准教授4万人、教授7万人である。
- ピラミッド型の構造かと思えば、教授がだぶついている。これは、真の教授である「主任教授」以外にも教授選に漏れたお情けで教授の椅子を与えられた教授がいるためである。
- 例えば医学部の場合、教授選において主任教授が決まるが、そこで落選したからといって教授になれないかというとそうではない。主任教授の部下的な存在の「関連大学病院の教授」にスライドするパターンがある。○○大学病院(本院)は主任教授がいるが、○○大学△△病院という関連附属病院に教授のポストを作り、そこの長になってもらうのだ。実質的に医局内では准教授と同じ立ち位置であるが、「教授」というポストがもらえ、関連病院ではあるがそこの診療科長になれるので落選者の割りには悪くない選択肢である。
- 教授がだぶついているため准教授もだぶつく。
- 一方で講師は少ない。これは、助教が誰でもなれるのに対して、講師に関してはある程度の論文の実績がないとなれないためである。
一般企業との職位比較 †
大学 | 企業 |
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学長 | 代表取締役社長 |
副学長 | 専務取締役 |
主任教授 | 部長 |
教授 | 課長 |
准教授 | 係長 |
講師 | 主任 |
助教 | 平社員 |
給料 †
- 2021年度の大学教授の年収調査では、第1位は「東京大学」であった。教授の平均年収は1193万円、教授の数は1200人、平均年齢は56.0歳で最高年収は1891万円であった。
- 今回のランキングにおける平均値は1027万円(データのない一部の大学を除く)であり、半数以上の国立大学で、教授の平均年収が1000万円を超えていた。
- 東大が1位と言っても国立大学間での差異はほとんどないということであろう。
- 東京大学のその他の役職では、准教授の平均年収が957万円(平均年齢46.6歳)、講師が876万円(平均年齢44.5歳)、助教が730万円(平均年齢40.5歳)、助手が764万円(平均年齢56.1歳)となっており、講師の中には、年収1000万円をもらっている人もいる。また、助教と助手の最高年収はいずれも890万円前後である。
参考文献 †
- 学校基本調査 / 令和3年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 学校調査 大学・大学院
- 文部科学省「独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和3年度)
コメント †