概要

分類国家資格
認定開始旧司法試験:1949年~2011年
新司法試験:2006年~
管轄
分野法律系の資格
受験資格法科大学院卒業
司法試験予備試験合格
受験料28,000円
勉強時間5000時間以上
法曹数弁護士:41,118人
裁判官:2,774
検察官:1,976人
2019年時点
年収ランク弁護士:【6】1800~2199万円
裁判官:【7】1500~1799万円
検察官:【8】1200~1499万円
HP

解説

  • 司法試験とは日本における法曹資格付与のための試験である。
  • 司法試験に合格することで、弁護士、検察官、裁判官への道が開かれる。
  • 大昔から日本における最高難易度の試験ということで認知されていた。東大京大早慶の卒業者が数年間ガチで勉強して3%しか合格しないのだ。待遇も破格であり、国家資格という枠組みでありながら、勤務弁護士でも年収3000万円を楽に超えた(※普通、国家資格の目的はボトムラインの切り上げであり、「国家資格で稼げる」性質の資格はほとんどない)。しかし、2006年に新司法試験が施行されてからはその評価は変わった。合格率が40%を超え、弁護士数も年1000人ずつ増えていったのだ。当然、希釈化による資格価値の低下が起きる。以下は2010年から2019年の給与変化を示した表である。
    nitiben.png
    表:10年間での給与変化
    弁護士給料は圧倒的に減っている。n数が少ない統計であるため全てを信頼するわけにはいかないが、給料が減少しているという事実は間違いないであろう。となると資格の人気もどんどん低下し、10年間で志願者は半分になってしまったのだ。それでも相変わらず40%、1500人の合格者を出しているため、法曹の質も大きく低下している。
  • 元々はアメリカのメディカルスクールを見習って、「多様な人材を法曹に」というテーマの下で動き出した施策であるが、その目論見は完全に崩れている。現在では、ボーダーフリーの法科大学院に入って3年間過ごすのだが、エリートサラリーマンは入学には及ばない。現在の法曹の価値と現在の仕事の価値を天秤にかけると絶対仕事が優位になるからだ。となると、学生か法曹浪人かということになり、これでは旧司法試験時代と変わらず一様な人材となってしまう。さらに、人材のレベルとしては旧試験時代よりも明らかに低下しているため、一様で低レベルな人材を集める試験となってしまっている。メディカルスクールを模した同様の失敗例が、医学部学士編入試験である。これも結局はレベルの低い人材の収集ということに終始してしまっている。
  • 2010年代の「食えない弁護士キャンペーン」により司法試験受験者は減っている。しかし、弁護士の待遇自体は底値を打った感じで、年収3000万を稼ぐことを造作もないレベルには到達している。二回試験の理不尽な落ちもほとんどなくなってきている。2020年代、司法試験は狙い目かもしれない。
  • 旧司法試験の威厳は最高峰であり、バブル期でも受験者は減少しなかった(公務員、医学部ともに人気は低下していた)。その下値が堅い中で就職氷河期を迎え、2003年には5万人の受験者となり、実に1990年代の倍の値となった。これが新司法試験になることで威厳は一気に低下し、現在に至っている。上述の通り、「低下しすぎ」のきらいがあり、2度目になってしまうが、今こそ狙い目と言えるかもしれない。

給料

  • 法曹増加により希薄化が起きているが、それでも弁護士の給料は高い。
  • 歯科医と同様に、「弁護士は食えない」と無知なマスコミが報じているが、これは全くの嘘である。こうした報道をするメリットはよくわからないが、単に真の情報を調べ切れていないだけであろう。大方、たまたま見つけた兼業主婦弁護士の給料を取り上げて「稼げない」としているだけだと思われる。
  • 弁護士の給料としては、勤務弁護士でも大手法律事務所であれば初年度1000万円を超える。「大手だと入るの難しいんでしょ?」となるが、2020年73期の4大法律事務所の採用数は、西村あさひ48人、長島・大野・常松48人、アンダーソン・毛利・友常38人、森濱田松本はわからないが50名ぐらいであり、1500名忠実に200名が4大法律事務所というトップオブザトップスに入所できるのだ。実にぬるい世界である。
  • 入社数年後から出来高制になるため2000万円を超える。
  • 医師と異なり、出世で大きく給料は跳ねあがり、勤務弁護士でも3000万円、4000万円はざらに存在する。ここが医師との違いであり、勤務医は安定して2000万円を稼ぐことはでき、勤務日数を増やせば3000万円も超えるが、3500万円の壁はなかなか超えることができない。

試験

科目

  • 短答式
    科目問題数配点時間
    憲法20-355050分
    民法30-387575分
    刑法20-255050分
  • 論文式

合格率

年度修習期出願者受験者1次合格最終合格合格率
202276
2021753,7543,4242,6721,42141.50%
2020744,2263,7032,7931,45039.15%
2019734,9304,4663,2871,50233.66%
2018725,8115,2383,6691,52529.11%
2017716,7165,9673,9371,54325.86%
2016707,7306,8994,6211,58322.94%
2015699,0728,0165,3081,85023.08%
2014689,2558,0151,81022.58%
20136710,3157,6532,04926.77%
20126611,2658,3872,10225.06%
20116511,8918,7652,06323.54%
2010648,1632,07425.41%
2009637,3922,04327.64%
2008626,2612,06532.98%
2007614,6071,85140.18%
2006602,0911,00948.25%

以下昔の合格率

出願短答合格論文合格最終合格合格率(%)
201016,08874252
200918,6111,59910192 (16)0.49
200821,9941,605141144 (39)0.65
200728,0162,219250248 (57)0.89
200635,7823,820542549 (118)1.53
200545,8857,6371,4541,464 (350)3.19
200449,9917,4381,5361,483 (364)2.97
200350,1666,9861,2011,170 (275)2.33
200245,6226,4571,2441,183 (277)2.59
200138,9306,7641,024990 (223)2.54
200036,2036,1251,026994 (270)2.75
199933,9835,7171,0381,000 (287)2.94
199830,5686,140854812 (203)2.66
199727,1125,681763746 (207)2.75
199625,4545,239768734 (172)2.88
199524,4884,854753738 (146)3.01
199422,5544,941759740 (157)3.28
199320,8484,557759712 (144)3.42
199223,4354,603634630 (125)2.69
199122,5964,576616605 (83)2.68
199022,9003,814506499 (74)2.18
198923,2024,020523506 (71)2.18
198823,3524,296535512 (61)2.19
198724,6904,641526489 (60)1.98
198623,9044,352538486 (59)2.03
198523,8553,811482486 (45)2.04
198423,9564,174459453 (52)1.89
198325,1384,008459448 (44)1.78
198226,3173,809461457 (48)1.74
198127,8164,181486446 (33)1.6
198028,6564,404545486 (49)1.7
197928,6224,167534503 (40)1.76
197829,3903,618515485 (32)1.65
197729,2143,229501465 (33)1.59
197629,0883,152497465 (39)1.6
197527,7912,343482472 (36)1.7
197426,7082,419494491 (23)1.84
197325,3392,484566537 (24)2.12
197223,4252,407523537 (26)2.29
197122,3362,821623533 (28)2.39
197020,1602,157519507 (34)2.51
196918,4532,326495501 (37)2.72
196817,7272,322618525 (35)2.96
196716,4602,244551537 (24)3.26
196614,8672,225583554 (18)3.73
196513,6442,258563526 (25)3.86
196412,6982,017579508 (25)4
196311,6862,030529496 (28)4.24
196210,7621,931495459 (26)4.27
196110,9092,092497380 (17)3.48
19608,3631,774366345 (15)4.13
19597,8581,766360319(8)4.06
19587,1091,677362346 (11)4.87
19576,9201,429308286(6)4.13
19566,7371,458301297 (14)4.41
19556,347250264 (10)4.16
19545,250243250 (10)4.76
19535,138293224(3)4.36
19524,761249253(7)5.31
19513,668274272(2)7.42
19502,806260269 (3)9.59
19492,570301265 (3)10.31

※()女性

法曹人口の推移

参考文献:こちら

housojinko.jpg

弁護士数前年比裁判官検察官
2022
2021
202042,1641,046
201941,1181,0522,7741,976
201840,0661,0862,7821,957
201738,9801,3002,7551,964
201637,6801,2652,7551,930
201536,4151,3702,9441,896
201435,0451,4212,9441,877
201333,6241,5362,8801,847
201232,0881,6032,8501,839
201130,4851,6962,8501,816
201028,7891,8592,8051,806
200926,9301,8892,7601,779
200825,0411,9222,6851,739
200723,1191,0982,6101,667
200622,0218362,5351,648
200521,1859612,4601,627
200420,2247162,3851,563
200319,5086702,3331,521
200218,8385952,2881,484
200118,2431,1172,2431,443
200017,12639522131,375
199916,7312,1431,363
199816,3052,1131,325
199715,8662,0931,301
199615,4562,0731,270
199515,1082,0581,229
199414,8092,0461,190
199314,5962,0361,184
199214,3292,0291,174
199114,0802,0221,172
  • 弁護士数に関しては、1991年と比較すると現在は3倍の数値になっている。
  • 一方で、民事訴訟数は1996年142,959件、2006年148,776件とほぼ横ばいである。ただし、そのうち医療訴訟に関しては、575→913と増加している。https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0312-8c_0041.pdf

司法試験合格後

司法修習

  • 司法研修所にて司法修習を1年間行う。
    • 司法修習生65期(2011年11月入所)から70期(2016年11月入所)までの間は、修習期間中の生活費用などを国が貸与する制度が採られていた。副業禁止であることも相まって、収集中の金銭的な厳しさが社会問題となった。しかし、2017年4月に裁判所法が改正され、司法修習生に対し月額13万5000円を給付する「給費制」が復活した。遠隔地での実務修習などによる住居費がかかる場合には、3万5000円を上限に住居手当も加算される。さらに、申請を行うことで、給費金とは別にこれまで通りの生活資金貸与も受けることができる(改正裁判所法67条の3)。

二回試験

  • 二回試験とは司法修習修了試験である。
  • 試験科目は民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5つ
  • 1科目に対して丸1日の時間が費やされる。
  • 仮に不合格になった場合、その年の司法修習生としては罷免され、次の年度で再受験することとなる。
  • 以下二回試験の不合格率
    出願不合格不合格率
    2022
    2021
    202074146150.34%
    2019731467100.68%
    201872147970.47%
    2017711517150.99%
    2016701527150.98%
    2015691784522.91%
    2014681758301.71%
    2013671972381.93%
    2012662031391.92%
    2011旧657456.76%
    新651995381.90%
    2010旧64102109.80%
    新642024562.77%
    2009旧63148128.11%
    新632016854.22%
    2008旧6226393.42%
    新622044703.42%
    2007旧61569203.51%
    新6118111015.58%
    2006旧601453674.61%
    新60986595.98%

参考文献:https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/07/26/nikaishiken-hugoukaku-kazu-ritsu/

  • かつては5%程度が落ちる緊迫感のある試験であったが、近年では、特に新司法試験移行後は1%を切るぬるぬる試験となっている。

給料

弁護士の給料
裁判官・検察官の給料

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  • 大公学院厚生公益大学事業ファイナンス学部データアナグラム学科 -- 2023-03-02 (木) 18:37:51
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