医師
概要 †
- 「医師の平均年収は1100万円」は嘘である。ネット上でコピペされただけの実態のない数値である。→この数値が出回った根拠として賃金センサスにおける医師の平均年収が挙げられるが、これは、1か所の勤務先における平均年収である。複数勤務が当たり前の医師には当てはまらない。
- 1か所の勤務先での年収が1100万円であったならば、アルバイトで+500~1000万円程度の追加収入があるため、実際の平均年収は1600~2100万円となる。
- 最も安定して稼げる資格として認知されており、その安定さゆえに、2000年代の就職氷河期組の受け皿として認知された。
- 卒後3年目(最短27歳)でも年収1500万円は可能であり、10年遅れて医師になったとしても40歳で1500万円に乗ることは余裕である。
- ただ一方で、年収3500万円以上は勤務医では難しく、年収の伸びしろではエリートサラリーマンに完敗する。
- 無能でも保険点数と希少性による年収の下支えがあるため一定以上(1500万円)は確実に稼げる点がメリットである。
- 「稼げる」というよりも「安定している」と言った方が正しいかもしれない。
- 普通に過ごしていれば誰でも2000万円以上はいく。
- 保険診療に支えられており、「医師」ということに価値があるため、優秀かどうかは給料には大きく影響しない。
- 一般企業のような毎年の昇給はない。ただし、公立病院は定期昇給あり。
- 給料の上がるタイミングとしては、「初期研修2年→後期研修3年→一般的な医師」とすると、「→」の付いている箇所だけである。他に、医長、部長、副院長、院長と役職が上がるにつれて役職手当が上乗せされる。ただ、医長5万円、副院長10万円~15万円、院長15万円程度であり、平医局員1500万円とすると副院長が1650万円で微々たる差しかないことになる。
- 再受験ブームとなった原因もこの給与システムにあり、若くして高値付近で推移することができるため、年齢の遅れが一般企業ほどハンデにならない。
- ただ、上述の通り、優秀さと給料の相関はほとんどないため、3500万円以上の高値を追い求める人には向いていないだろう。
- 副業として製薬会社の講演会をしている医師も多い。これも優秀じゃなくてもできる簡単な仕事であり、1回15分で3万円(平医局員)~10万円(副院長以上)手に入れることができる。自己の体験をもとに製薬会社の薬を褒めるというエビデンスに反するやり方であり、優秀層はむしろ嫌っている仕事である。
- 2022年、円安で国内企業が爆益で従業員に給料が還元されていく中、医師の給料は変わっていない。変わるはずはなく、30年間給与水準は変わってない。とすると、今後医師の給料が相対的に割安となっていく可能性は非常に高い。
目安 †
属性 | 大学病院 | 市中病院 | 診療所 |
---|
種別 | 常勤 | 外勤 | 計 | 常勤 | 外勤 | 計 | 常勤 | 外勤 | 計 |
研修医 | 300 | なし | 300 | 450 | なし | 450 | なし | なし | なし |
30代 | 500 | 900 | 1400 | 1300 | 900 | 2100 | 1600 | 1000 | 2600 |
40代以降 | 600 | 1000 | 1600 | 1800 | 1000 | 2800 | 2000 | 1000 | 3000 |
※単位:万円
※常勤週4日+外勤週2日を想定、週5日勤務ならば(-500万円程度)割り引く必要がある
- 大学病院の場合は週6日勤務がデフォルトであるので外勤給料に幅はないが、市中病院の場合は週4日+外勤1日の医師も多い。そうなると、市中病院外勤給料が500万円ぐらいとなる。
- 30代でも40代でも外勤先の給料はほとんど変わらないが、年齢を経ると専門医取得や人脈形成などによりより良い条件の外勤先を見つけることができるようになるため、40代の外勤給料は30代+100万円とした。
- 現実的な最大値は以下の通りである。これ以上となると、特別なスキルを持った医師は更なる高値で買われるかもしれないが、そんな人はあまりいない。
- 初期研修医:1000万円(参考)
- 後期研修医:常勤週4日1500万円+外勤週2日1000万円=2500万円
- 役職なし医師:常勤週4日2300万円+外勤週2日1000万円=3300万円
- 役職あり医師:常勤週4日2500万円+外勤週2日1000万円=3500万円
調査 †
- 株式会社メディウェルが、全国の医師の男女2250人を対象とした「医師の年収」に関するアンケートを実施した(2022年10月)
- 全年齢の中央値は1700万円であった。
- 男性40~60代の中央値は「1900万円」であった。
- 医師のアルバイト率は71%であった。
- 医師の総年収は以下の通りである。
年収(万円) | 回答数 | 割合 |
---|
~799 | 13 | 2.9% |
800~999 | 28 | 6.3% |
1000~1199 | 59 | 13.2% |
1200~1399 | 60 | 13.5% |
1400~1599 | 62 | 13.9% |
1600~1799 | 53 | 11.9% |
1800~1999 | 51 | 11.4% |
2000~2199 | 52 | 11.7% |
2200~2399 | 17 | 3.8% |
2400~2599 | 19 | 4.3% |
2600~2799 | 4 | 0.9% |
2800~2999 | 4 | 0.9% |
3000~ | 24 | 5.4% |
合計 | 446 | 100% |
表1:アルバイトを含めた総年収
- 主たる勤務先の年収は以下の通りである。
年収(万円) | 回答数 | 割合 |
---|
~799 | 394 | 25.0% |
800~999 | 159 | 10.1% |
1000~1199 | 181 | 11.5% |
1200~1399 | 153 | 9.7% |
1400~1599 | 180 | 11.4% |
1600~1799 | 154 | 9.8% |
1800~1999 | 132 | 8.4% |
2000~2199 | 78 | 4.9% |
2200~2399 | 53 | 3.4% |
2400~2599 | 27 | 1.7% |
2600~2799 | 11 | 0.7% |
2800~2999 | 10 | 0.6% |
3000~ | 44 | 2.8% |
合計 | 1576 | 100.0% |
表2:主たる勤務先の年収
- 年収中央値
年齢 | 男性 | 女性 |
20代 | 1100 | ~800 |
30代 | 1700 | 1100 |
40代 | 1900 | 1500 |
50代 | 1900 | 1500 |
60代 | 1900 | 1700 |
70代以上 | 1300 | |
※単位は「万円」
調査の評価 †
- 2250人を対象と言いつつ、回答者は1500人程度のようだ。N数が少なすぎて参考にならない。
- 大学病院医師、研修医などの若手が多く含まれており、そのために中央値が1700万円と引き下げられていると思われる。
- 男性40代の中央値は1900万円であり、確かにこの数値は妥当なところか。市中病院2300万円、大学病院1300万円程度であり、平均すると1900辺りはうなずける。
特徴 †
医師の給料の特徴
賃金センサスにおける医師の平均年収
コメント †