概要

分類専門職と企業群
資格定期運送用操縦士
勉強時間
年収ランク【5】2200~2599万円

解説

  • パイロットとは飛行機やヘリコプターを操縦する職業を指すが、ここでは、航空会社で航空機を操縦するエアラインパイロットを取り上げていく。
  • 航空会社に入社して養成訓練を受ける方法と航空大学校に入学する方法がある。
  • 航空会社への入社難易度は熾烈を極め、ANAとJALの自社養成パイロットは就職活動では最難関の部類に入る。
  • 自社養成パイロットの志願倍率は、どの航空会社でも100倍以上となっている。
    • ただし、新型コロナウイルスの影響でANA、スカイマークは2021年度の自社養成パイロットの募集を取りやめている。
  • 2030年以降は、バブル期に大量採用されたパイロットたちが定年を迎え、航空会社から大勢のパイロットがいなくなると予測されている。
  • 新型コロナウイルス流行の前は、2030年頃には航空需要がさらに増大し、現在の4.5倍のパイロットが必要になるとも言われていた。
  • 地上勤務→研修を経て、20代後半から副操縦士になることが一般的である。副操縦士から機長になるまでは10年程度必要となる。
    • 訓練課程で不合格が続き、不適合とみなされた場合は退職、または総合職に職種を転換させられる可能性もある。
  • ANAJALでは、パイロットの中途入社は受け付けていない。
  • 自社養成パイロットとして入社しても訓練中止「フェイル」を食らうこともある。
    • 「パイロットという仕事は一生試験を受け続けていく職業である。」と誰かが言っていたが、よく的を得ていると思う。航空会社に訓練生として入社すると訓練期間中実に多くの審査を定期的に受けていくことになる。この審査に二回続けて落ちることがあれば訓練は即中止される。訓練生としてのステータスは剥奪され(フェイル)、総合職への転換か、もしくは会社を去るかの決断を迫られることになる。大手航空会社の自社養成パイロットのフェイル率は大よそ1~2割の間を行き来している。しかしこれが自社養成の歴史が浅い会社になると極端に高くなる。これは会社の訓練システムが出来上がっていないこともあるだろうが、先輩がいないため上の代の訓練生からの引継ぎ資料が皆無に等しいことが大きな
  • デメリットとしては、仕事の専門性が高すぎて「航空会社で雇われパイロットをする」以外の選択肢がないということだ。他資格職のような独立開業やシナジーを生かして他職種に転職するということができない。
  • 宇宙線と太陽放射線への被爆問題が言われているが、具体的にどの程度影響が出るのかはエビデンスが確立されていない。https://biz-journal.jp/2018/12/post_25921_2.html
  • 給料は高いが、どの会社に所属しているかがステータスとして重要になる。JALANAであれば、合コン受けはいいが、LCCだと格落ち感はある。

給料

給与明細

  • 機長の給与明細
項目
基本給935,000
乗務手当873,991
時間外乗務手当14,280
深夜乗務手当12,501
JAPA会費1,500
課税通勤費50,000
非課税通勤費10,000
時間外労働手当94,055
深夜労働手当13,151
総支給額2,004,478
  • 上記の給与明細の時の労働具合
項目時間
出勤日数20
実働時間159:01
時間外勤務11:58
乗務時間84:01
追加乗務時間8:15
総乗務時間92:16
  • 乗務手当の時給は1万円弱。上記の他に出張手当が月に5万円ぐらいつくとのこと。出張手当を含めてちょど時給1万円ぐらいになるのだろう。
  • 年収換算だと200万円x12か月+ボーナス4か月=2400+400=2800万円程度になる。

参考文献:https://www.youtube.com/watch?v=ljggxm4CsS0

平均年収推移

平均年収平均年齢
20011266.038.8
20021251.338.1
20031340.439.9
20041713.743.1
20051381.939.0
20061295.540.6
20071295.540.6
20081238.338.3
20091035.040.5
20101136.142.0
20111198.842.5
20121198.842.5
20131160.144.5
20141712.143.1
20151531.544.0
20162047.045.8
2017
2018
20191694.639.4
20201725.243.8
20211072.341.1

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実際

  • JAL、ANAのパイロットの給料は給与所得者の中では最高峰である。
  • ANAの機長の年収は入社20年目で2500万円程度である。(参考文献:open work)
    • 60歳定年で再雇用も可能であるが、同一労働で給料3割減となる。
  • JALも2020年代に入り給料が上がり、20年目2500万円程度となっている。
    • 35歳副操縦士で1300万円程度である。
    • 2010年頃は42歳機長で1400万円、38歳副操縦士で1000万円であった。
  • 大手2社の報酬は高く、JALの場合、機長1年目の月給は約180万円である。ANAの場合、同じ前提で約190万円(飛行時間80時間が前提条件)。とすると、年収では2200万円+ボーナスということになる。ボーナスは基本給ベースなので大した額ではなく、年収2400万円程度になるであろう。
  • 2015年時点で、スカイマークでは、副操縦士60時間までは700万円、機長1年目は1300万円
    • 2017年時点で、副操縦士3年目900万円、機長1年目2000万円であった。給与改定があったとのこと(参考文献:open work)
  • スターフライヤーの有価証券報告書には2019年3月期分で1400万と記載がある。(おそらく、機長副操縦士合わせての平均かと)
  • パイロット不足によりLCCでも年収2000万円は可能となっている。
  • 前ピーチの井上CEOがインタビューでパイロットの年収は大手と100万~200万くらいしか差がないと言われていた。(知恵袋
  • 高い給料の仕組みとして的を得た記載があったので引用しておく。
    • 大手のパイロットは会社が多額の金をかけて養成しているため、会社も簡単に手放せないのです。
      つまり会社はパイロットを切り捨てにくいんですね。
      そこをうまく突いて給与を上げてきたのがJALとJASです。 JASのほうが乗務員の会社に対する態度が強気だったみたいですよ。
      で、結果JASはJALに吸収され、JALも破綻。 まぁ、当然の結果でしょう。
      パイロットは基本的に単純作業の肉体労働者なのに、一度入社してしまうとそういうことを忘れる傲慢な人が多いんですね。パイロットの給料の話になると決まって「大勢の人の命を…」 「空の安全を…」 「定期的な訓練や試験を…」など言いますが、正直なところ、それらは給料とはリンクしていません。大手のパイロットの給料はあくまで「給料が低くてパイロットが辞めたいと思わないぎりぎりのレベル」を目指しています。そのため、パイロットを自社で養成しないスカイマークなどの中堅はかなり安いですよ。 切ろうと思ったらいつでも切れますからね。LCCは大手からの出向が多いので、今のところそれほど給料は低くないそうです。(2013年知恵袋
    • ↑非常に的確で、パイロットの給料は能力が高いからではなく、単に養成に金がかかるからなのだ。それを逆手にとって労使交渉でいつの間にか高給になっていたということが真実である。

JAL

  • 有価証券報告書にて運航乗務員の給与の記載がある。参考
年収(万円)従業員数平均年齢
202217423082
202117702876
202020232766
201921092690
201821052629
201720862570
20161690191344.5
20151636183943.6
20141538145343.5
20131548141144.4

表:JALパイロットの年収

  • 上記報告書は連結決算であるため、子会社のパイロットの年収も含まれている。JAL単体だともっと高くなるだろう。
  • パイロットの数が年々増えている。若手が増えて長老が引退しているため平均年収は下がっていると思われる。破綻からの復帰後は給料が抑えられていたが、今は45歳で2500万円ぐらいはいくであろう。

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