専門職と企業群
概要 †
必要資格 | 普通自動車二種免許 |
受験資格 | 21歳以上 一種免許を取得してから3年以上経過 両目0.8以上片目0.5以上 |
運転手数 | 24万0,494人(参考:TAXI TODAY in Japan 2021) |
平均年齢 | 60.7歳(2021年賃金センサス) |
平均勤続年数 | 10.5年(2021年賃金センサス) |
解説 †
- 運転手の一種であり、乗用車を運転して顧客を目的地に運ぶ役割をする。
- 自動車二種免許が必要である。
- 働き方としては、会社員としての雇われ運転手か個人タクシーとしての自営業かの二択がある。このページでは主に雇われ運転手について記載する。
- 雇われに関しては参入障壁は非常に低く、誰でも就職することができると言ってよい。二種免許は就職してから会社経費で取得することが一般的である。
- 人材が選抜されていないため、タクシー運転手の人材の質の悪さを論じる媒体も多い。
- タクシー運転手は通常、出庫から帰庫までおよそ16時間働き通す。ただ、その間には2時間以上の休憩時間が事故防止のため義務づけられており、会社によっては3時間以上を推奨するところもある。勤務形態も隔日勤務であることが多い。
- 一般的なタクシー運転手の1カ月の労働日数は11~13日。土日休みの企業より10日前後少ない。新卒で都内の大手タクシー会社に入社したある運転手は、「ほかの業種と比べて会社に縛られる時間が少なく、休日も多い。自分の時間を持ちやすい」と語る。
新卒 †
- 近年は、新卒者がタクシー運転手として就職することも増えている。
- 2010年では都内主要5社においては新卒者数は0に近かったが、2021年には500名を超えている。
- 2010年頃から全国のタクシー運転手が毎年1万人超のペースで減少しはじめると、先細りする業界を長く支えてほしいという願いから、新卒採用に本腰を入れ始めたのだ。
- 長い間醸成されてきたタクシー運転手への「長時間労働、危険、賃金が不安定」という世間のイメージを変えるために、親への説明会も実施した。
- 東大卒もタクシー運転手として入社することもあるとのことだ。
- 配車アプリの普及もタクシー運転手需要を支えている。
過剰なタクシー上げ †
- 近年、なぜか「タクシー運転手いいですよ!」という記事が散見されている。
- 新卒が続々とタクシー乗務員を仕事に選ぶ理由の記事が非常に印象的であった。2016年の記事であるが、新卒女性の写真をトップに使用し、「なんてホワイトな仕事なんだろう」の見出しを使用してプロモーションをしている。ホワイトな理由としては、以下を言及している。
- 給料が高い
「卒業後に同級生と給与を比べたところ自分は倍もらっていた。」と。
2015年の大卒初任給は20万2000円。年収にすると300万以下だが、ドライバーの場合、年収400万円台は「余裕」で。
↑とあるが、賃金センサスによる統計ではタクシー運転手の年収300万である。また、同期と比べて倍ということであるが、何を比べたのであろう。年収であれば、200-400、300-600、400-800という比較になるが、200-400ならそもそも大したことないし、300-600となると平均を逸脱している。この「倍」はおそらく月収の比較なのではないか。月収であれば歩合給の上乗せされるタクシー運転手は年収の割に高く出る。月収比較であれば倍だが、年収を比較すると大した違いはないというオチである。大した違いはないが、「倍」と記載することで、閲覧者に「タクシーは一般企業の倍も稼げるんだ」とミスリードさせる卑怯な記事である。
- 社内恋愛が増加している
平均年齢60歳で?なら他の企業の方があるのでは?
- 勤務日数が少ない
「1カ月の勤務は11日です。大学生のときよりも遊んでいるかも」と。これは確かに。タクシーは一日16時間勤務であり、一般の人と合計の労働時間は変わらないが、休みがまとまっているので、人によっては有効活用できるであろう。
- こうした独りよがりの記事であるが、是非とも続報がほしい。おそらく、上記記事で取り上げられた女性たちは現在は退職しているであろう。
自動車二種免許内容 †
- 普通自動車二種免許の試験は大きく学科試験と技能試験、講習の3つに分けられる。
- 学科試験はマークシート式で、文章問題90問とイラスト問題5問の計95問の試験。
- 文章問題が1問1点、イラスト問題が1問2点の合計100点満点の試験となっており、90点以上で合格。
- 第一種免許の学科試験にはなかった「接客に関する問題」が含まれている。
- タクシーだけではなく、バスの運転に関する問題も出題される。第一種免許の学科試験よりも難易度が高く設定されている。
- 普通第二種免許以外の第二種免許を保有している人は、学科試験が免除になる。
- 技能試験は指定の自動車教習所内での試験と路上試験があり、両方に合格する必要あり。
- 教習所内の試験では主にV字型の鋭角コースの旋回や方向転換、縦列駐車。V字型
切り返しの際にタイヤを縁石にぶつけたり乗り上げたりしてはいけません。
- 講習は学科試験と技能試験に合格した後に受ける。内容は応急救護処置講習と旅客者講習。
給料 †
- 給料は新卒から歩合制。営業成績に応じて固定給に上乗せした歩合給をもらえる。
- 下記統計では平均年収は300万円程度である。しかし、これをもって「タクシー運転手の年収は300万円」とするには現実を見ることができていない。タクシー運転手の場合は、「生活の足し程度に稼ごう」という層がかなりの多くを占めている。それは平均年齢を考えても明らかである。この層と「家族を支えていくためにしっかりと稼ぎたい」層をごちゃまぜにして表面上の数値だけを捉えても何の意味もない統計となってしまう。
- しっかりと稼ぎたい層の平均年収は500~600万円ぐらいか。大手ならば500万円は下回らないようだ。
年 | 平均年収(万円) | 平均年齢(歳) | 平均勤続年(年) |
2002 | 323.9 | 53.1 | 9.6 |
2003 | 313.2 | 53.7 | 9.7 |
2004 | 306.8 | 54.1 | 9.2 |
2005 | 300.8 | 54.8 | 9.4 |
2006 | 328.4 | 55.2 | 8.7 |
2007 | 328.4 | 55.2 | 8.7 |
2008 | 325.5 | 56.7 | 9.6 |
2009 | 279.7 | 56.1 | 8.7 |
2010 | 278.2 | 56.6 | 9.3 |
2011 | 290.3 | 56.9 | 9.5 |
2012 | 290.3 | 56.9 | 9.5 |
2013 | 297.3 | 58.3 | 9.4 |
2014 | 301.2 | 58.6 | 9.2 |
2015 | 308.9 | 58.9 | 9.9 |
2016 | 330.0 | 58.7 | 9.4 |
2017 | | | |
2018 | | | |
2019 | 357.6 | 59.7 | 10.5 |
2020 | 299.6 | 59.5 | 10.2 |
2021 | 280.4 | 60.7 | 10.5 |
表:タクシー運転手の年収年齢勤続年(参考文献:賃金センサス)
- 「新卒で入社する人増えてます!」とか煽ってるけど、平均年齢上がりまくりやんw
- 2021年に関しては平均60歳代に乗ってもうてる。。。
- 基本的にドライバーやってる年輩はリストラ経験者 倒産してなど… 30代 40代の運転手は怠け者や普通の職を転々として行き着いた人多数であり、こうした者たちが平均値を下げている。
- タクシー大手4社は、国際自動車、日本交通、帝都自動車交通、大和自動車交通である。
国際自動車 †
- 売り上げの5割ちょっとが自分の収入になる。できる人は月に売り上げ120万円程度。つまり、月収が60万円程度となる。
- 頑張れば年収600万円も新卒で可能
- 基本給なし
- 普通にやってれば1年目でも500万円はいく。
- 平均値は月に27万円ぐらい。
日本交通 †
- 営業収入の52%が給与として毎月支払われる。8%は賞与としてプールされる。
- ガツガツやって月50万円、そこそこで35万円
帝都自動車 †
1000万円は? †
- タクシーで年収1千万を稼ぐためには月平均170万円の売上が必要である。そうすると
隔日勤務 約1日14万円
の売上が必要となる。最も売り上げを上げやすい地域は東京であるが、その東京で隔日勤務で2~3万円がしんどいと言う以上、事実上不可能な数字となる。
新卒にタクシーおすすめは無理がある †
昨今では、違和感のあるタクシーおすすめ記事が見られるが、新卒でタクシー運転手は視野が狭いと言える。どの記事も「他の職種より稼げる」「思ったより休める」といった、近視眼的な見方しかしていないのだ。例えば、タクシーで年収500万円だったとしよう。メガバンクの初年度年収は350万円程度である。「エリートであるメガバンク職員よりも1.5倍もの給料がもらえる!」とでも思っているのであろうか。では、10年後を見てみよう。メガバンクは32歳で1000万円以上だが、タクシーは500万円のままである。それは当然と言える。メガバンクでは、様々な金融スキルを学び、自身の付加価値を高めていくことができるが、タクシー運転手ではスキルの積み重ねはない。それが故に新人時代からベテランに比肩する歩合給を叩き出すことができるのだ。結果的に給与の伸びがなく、スキルの取得もできない。タクシー運転手はあまりにも労働集約的すぎるのだ。地震の能力が高まらないので、次にステップアップしていくことができない。学生はこのことを当然のように理解しており、タクシー運転手の平均年齢は年々上がっている。目先の給料だけを改善したのでは新卒で質の低い人材しか集まってこないだろう。
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